気がつけば早十二月、早田善‥

というわけで今年もあっという間に残りひと月となってしまいましたね。
工房でもちらほら年賀状をいそいそと刷る会員の姿を見るようになりました。
銅版画で年賀状というのも貰った方は物珍しく、!と?がひとしおでしょう。
まず一般的には銅版画が木版画に比べてポピュラーではないので、知らない人にはこれって何?紙が凹んでいるけど何なの?という反応がさもありなん。

今でも銅版画が知る人ぞ知る存在であるならば、刷り物の技術がほぼ木版画オンリーの江戸時代だったらさらに物珍しいものであったでしょう。そんな昔にお殿様に「お主、南蛮の銅版画なる刷り物の技術を習ってこい」と無茶振りされて「承知いたしました!」と好奇心半ばで安請け合いしたものの、先生に破門されるや材料・道具が揃わないやら悪戦苦闘‥そんでもやってみたら銅版画制作の魅力にどっぷりハマった人、亜欧堂田善さんの展示が来年の1月13日から千葉市美術館で始まります。

没後200年 亜欧堂田善展 江戸の洋風画家・創造の軌跡」
2023年1月13日[金] – 2月26日[日]

オシャレなチラシですね〜バック地の菱形もこれぞ田善の隠しネタが‥。
来年の事を言えば鬼が笑うと申しますが、是非ご高覧の程をよろしくお願いいたします。
私は会期中ワークショップの講師を務めることになりました。田善のように銅版画の魅力にハマっていただけるよう楽しく導く所存です。こちらも是非ご参加申し込みの程、何卒よろしくお願いいたします。

亜欧堂田善展関連ワークショップ
はじめての銅版画 ー エッチング、線から生まれる表現の魅力

急に寒くなりましたね〜

早いもので今年も10月となってしまいました。
すっかり涼しいのを通り越して寒くなってきましたが、いよいよ芸術の秋です!
じっくり銅版画に取り組むには最高の季節です。
ぜひご来所いただき、ナチュラルな風合いの紙にセピア色のインクで秋の風情を刷りあげてください(一例)

セピア色で思い出したのですが、ひと月前くらいに上野の西洋美術館で「西洋版画を視る
―エッチング:線を極める、線を超える」展を見ました‥やっぱりレンブラントのエッチングは素晴らしかったですね!
エッチングの線を柔らかく自在に操る技術にひたすら羨望です。またその描くことへの情熱‥いや線で暗闇を生み出そうとする執念。息をするように忘我で手を走らせてる姿が作品からも窺えます。

上の作品は「自作エッチング《ヤン・シックスの肖像》を見るレンブラント」と題名がついていました。
きっと写真がない時代、絵描きに頼んでポートレイトを描いてもらったのでしょう。
手にはニードル、机には銅版、窓辺には日光が版に反射せぬよう遮光板が設置されてます。
試し刷りをして「さて、どうしたものかなぁ‥」と思案している姿は、巨匠といえども今制作している我々と変わりがないことに親近感を覚えます。もちろんこんなお洒落な格好で制作してませんが(笑)

では芸術の秋!気軽に制作・見学にいらしてください。お待ちしてます。

残暑お見舞い申し上げます

じりじりとべらぼうな暑さが続いています。お元気ですか。
さて八月の工房は例年通り、お盆休みもなく開所の予定です!
ぜひ暑さには熱さでもって情熱的な熱い制作お待ちしております!
(工房はエアコンをほどよく効かせておりますのでクールです)


暑さでいささか壊れ気味の講師

会員の展示のお知らせ

初夏の候 当工房で制作している会員の展示が各所でございます。
ご高覧の程よろしくお願い申し上げます。

芳野 版画展「光をみつける」
2022年6月19日(日)〜6月30日(木)
会場 銀座 伊東屋 K.Itoya 地下1階
最終日18時まで
営業時間は伊東屋ホームページをご確認下さい。

イラストレーターの芳野さんの個展です。
リトグラフとちいさな銅版画の展示です。
銅版画はこちらの工房で制作されています。
優しい色彩のリトグラフと繊細な黒線の銅版画によるコントラストをご堪能あれ。

大塚文子 展 銅版画・紙版画
会 期:2022/06/20(月)~ 06/25(土)
会 場:うしお画廊
    東京都中央区銀座7-11-6 イソノビル3階
休廊日:会期中無休
時 間:11:30〜19:30(最終日17:00)

以前、かなり遠くから通所されていた大塚さん。
体調を崩されてからも版画制作への情熱を失うことなく十年‥いよいよ初個展です。
彼女にしか生み出せない心の風景画の数々を。

第38回手づくり絵本展(四街道手づくり絵本の会)
日時:6月28日~7月3日 9時~18時(最終日は16時まで)
場所:四街道市民ギャラリー
   千葉県四街道市鹿渡2001−10

会員の吉田洋美さん、谷裕子さんが参加するグループ展。
谷さんは作りためていた銅版画を再構成して絵本に昇華‥出来上がりが楽しみです。


梅雨時ですが散歩するにはいい気候です。
ぜひ各所お立ち寄りの程よろしくお願いいたします。

六月になりました

初夏の候 みなさんお元気ですか。
早いもので今年も半年経ってしまいました。

昨日とある続編映画を観てから空をぼんやり眺めることしばし‥。
「人生を祝福するような映画を作りたかった」
まさに主演男優の言葉にたがわない作品でした。


一作目公開されてから36年か‥ちょうど浪人中に美大予備校で初めて銅版画を作らせてもらったのがその年。
私事ですがそれから24年間あっちゃこっちゃで試行錯誤のあげく、ようやく小さな自分の工房を立ち上げたのが12年前。正直なところ最初は自分の作品を作るための砦のつもりで、教えるのはオマケぐらいのつもりでした。ところが想像以上に会員の皆さんが楽しく楽しい作品をたくさん作ってくれたおかげで、いつの間にか「自分の」ではなく来てくれる会員さんの工房だなと認識が変わっていきましたが、それは想定外にとても喜ばしいことでした。
「理由はファンのため。常にそうです」
続編を制作するに至った「決め手」を問われ主演男優はそう語りました。
まったく工房運営するにあたっても当然の覚悟として額に、いや銅版に刻まねばならない心持ちですね
ありがとうトム‥なかなか自分の作品制作にはそこまでの覚悟はできませんが「教官」ではなく、いつまでもひとりの「パイロット」でありたいという思いには強く共感しました。
これからも制作に来てくれる皆さんの刷りあげる時のドキドキを共有できるのが楽しみです。気軽に制作にいらしてください。
来所を心からお待ちしています。

12年前のガジュマル君はこんなだった