六月になりました

初夏の候 みなさんお元気ですか。
早いもので今年も半年経ってしまいました。

昨日とある続編映画を観てから空をぼんやり眺めることしばし‥。
「人生を祝福するような映画を作りたかった」
まさに主演男優の言葉にたがわない作品でした。


一作目公開されてから36年か‥ちょうど浪人中に美大予備校で初めて銅版画を作らせてもらったのがその年。
私事ですがそれから24年間あっちゃこっちゃで試行錯誤のあげく、ようやく小さな自分の工房を立ち上げたのが12年前。正直なところ最初は自分の作品を作るための砦のつもりで、教えるのはオマケぐらいのつもりでした。ところが想像以上に会員の皆さんが楽しく楽しい作品をたくさん作ってくれたおかげで、いつの間にか「自分の」ではなく来てくれる会員さんの工房だなと認識が変わっていきましたが、それは想定外にとても喜ばしいことでした。
「理由はファンのため。常にそうです」
続編を制作するに至った「決め手」を問われ主演男優はそう語りました。
まったく工房運営するにあたっても当然の覚悟として額に、いや銅版に刻まねばならない心持ちですね
ありがとうトム‥なかなか自分の作品制作にはそこまでの覚悟はできませんが「教官」ではなく、いつまでもひとりの「パイロット」でありたいという思いには強く共感しました。
これからも制作に来てくれる皆さんの刷りあげる時のドキドキを共有できるのが楽しみです。気軽に制作にいらしてください。
来所を心からお待ちしています。

12年前のガジュマル君はこんなだった

GWはOPしてます

一身上の都合でお知らせが遅くなりましたが、ゴールデンウィーク期間中も工房はいつも通り営業しております。どうぞご利用ください。
制作もぶらりお立寄りも
お待ちしております。


新緑の季節、新芽がどんどん伸びてきた

四月です

早いものであれよあれよいう間に桜の季節になりましたね
なんだか世界がざわざわしている感じがしますが、こういう時こそ心静かに作品と向き合いたいと思います
爆発するのは芸術だけで十分です
新年度、新たな創造の胎動を!

千葉市美術館ワークショップ「エッチング、はじめての銅版画体験」終わりました

千葉市美術館のブログにワークショップの模様が掲載されています

まずはたくさんの参加希望、ご応募いただきありがとうございました。このような時期にもかかわらずたくさんの応募をいただいたようで、当選参加を楽しみにしてた方には本当に申し訳ごさいませんでした。

さて当日(23日祝)は10歳から60代の幅広い男女15名の参加者により、はじめてのエッチングに手探りながらも真剣に取り組む熱気ある講座となりました。のたのた講師をフォローしてくれた美術館スタッフたちの心配りのおかげで参加者全員、無事時間内に版を完成させ刷ることができました。
まったくもって皆さん一作目から自分の表現になっているところが素晴らしい!個々の刷り上った作品をお見せしたいところですがプライバシーの観点から控えさせていただきますが、短い制作時間にもかかわらず小さい作品の中にそれぞれ自分の世界観、個性が表現されているのを見てとり、参加者の熱心さもさることながら改めてエッチングの面白さ(小さいサイズでも大きなイメージを想像させる)を再確認しました。
そして何と言っても銅版画の楽しさはプレス機を回して刷った時、紙をめくりあげる時のドキドキと驚きです。皆さんの刷りあげた作品を見ている表情から改めてそのことを新鮮に感じました。

参加者をはじめ美術館スタッフの皆さま、あっという間の楽しい一日をありがとうございました。いつかまたプレス機を挟んでお会いしましょう!







千葉市美術館のブログにワークショップの模様が掲載されてます
https://www.ccma-net.jp/blog/16337/

エッチングといえば

エッチングの作家と言えば誰を挙げるでしょう?
私は「レンブラント」でしょう!(今日の気分)
「‥つまらん。ダサいセレクト。」という声も聞こえてきそうですが、かつて若い私(今も絵描きとしたら若輩ですが)もオールドマイスターとその作品にそう思っていました。「レンブラント?ロックじゃね〜よ〜!」と。‥ところがどうでしょう!年を経るごとに彼の人生が生き様が自画像と共に私の胸に魂に共感と憧れを呼び起こしてくるのです。
私が大学生の頃「ポンヌフの恋人」という映画が公開されました。ヒロインのミシェルは絵描きでありながら失明の危機にさらされています。絶望のあまりホームレスとなり放浪の身空、光を失う前に最後に見ておきたい作品があると彼女は仲間のホームレスの手引きで真夜中のルーブルに忍びこみます。そのシーンで彼女のろうそくの光に照らされ浮かびあがったのはレンブラントの晩年の自画像でした(涙)
当時は当時でなるほどなぁと思ったのですが、絵描き半生を経た今ではグッとくる激シブセレクトだなと撮影当時二十代だった監督の早熟に天才に恐れ入るばかりです。なぜ「レンブラントの晩年の自画像」がグッとくるのかを説明するのは長くなりそうだし野暮なので止めておきますが‥。

さて!話は脱線しましたが「レンブラントのエッチング」の話です。
レンブラントはタブローというか油絵の作品で有名ですが、エッチングの作品も多数手がけております(399点)
17世紀の当時エッチング技法が発明されたばかりですが、この技法は当時かなり画期的だったのです。銅版画自体は先んじて印刷・複製用途としてあったのですが、銅板を彫るのに技術が必要でした(ビュランによるエングレービング)ところがエッチング(薬液による腐食)技法が発明されるとスケッチやクロッキーをするように線がひけ、その描線そのままに紙に刷ることができるようになったのです。つまり今までは一部の職工たちに拠っていた版作りを絵描きたちが簡単にできるようになったのです。ありがたい‥まったく今も昔も技術の大衆化というのは繰り返されるものですね。

レンブラントはこの簡単なエッチング技法を使って、ささっとクロッキー的な軽い版や何年にも渡り描いたり削ったりした重厚なタブロー的な版も作りました。その中には油絵でもたくさん描かれた「自画像」も。エッチングの自画像は油絵のものより軽やかで画家の色々な表情を捉えています。きっと油絵のためのスケッチという意味もあったでしょうし、写真のない時代に軽い記録のつもりもあったのでしょう。そのようなエッチングを幅広く使った自由さ、とかく「作品であろう」と固く考える私にエッチングはもっと自由であっていいのではと彼から諭されているようでもあります。
またエッチングというのは「作品であってもいいし作品でなくってもいい」身近で気軽なものだよとエッチングとの楽しい付き合い方や教え方をマイスターが「作品」から伝えてくれているような気がする今日この頃です。


我が工房に現存する唯一のレンブラント作品「自画像とサスキア」(後刷り)
ある方からオランダのレンブラントハウスのお土産にいただきました